政策研究会
地域の医療介護総合確保のマネジメントを考える
…安心して退院できるための医療介護需給マッチングサービスの構想
主催:静岡県立大学医療経営研究センター
昨2014年、医療介護総合確保推進法が成立し、続いて厚生労働省から医療介護総合確保方針が公表されました。その内容はいわゆる団塊世代が75歳以上となる2025年(昭和100年!?)に向けて、利用者の視点に立って切れ目のない医療・介護サービスが提供されるための基本方針を提示するものでした。
ところで、わが国の医療制度改革が本格的に始まったのは1980年代半ばですから早や30年が経過しました。改革の中身を一言でいえば、増え続ける医療保障財政をいかに持続するかに尽きます。保険料であれ、公費であれ、それらをプールした医療保障の資金と医療提供の費用のバランスをどう採るかの医療制度改革です。第3次改革にあたる1997年に介護保険制度の法案が国会を通過し、2000年度から同制度が始まりましたが、このとき高齢者医療費の一部を医療保険制度から介護保険制度に肩代わりさせ、医療保険財政を持続させました。
介護保険制度開始のカラクリが教えるように、医療と介護は元々分けて扱われる必然性はありません。じつのところわが国は、介護保険制度以前は介護を福祉として扱っており、介護措置は行政の仕事であり税で賄うものだと説明してきたところを、社会保険で賄うとともに介護保険から給付を受けるのは加入者の権利だと解釈を変え、介護サービスの提供者も利用者も頭の切り替えを迫られて混乱したものでした。しかし、その混乱も収まってきた昨今、急ぎ取り組まねばならないのが本格的な超高齢社会の到来に備えた地域の医療介護総合確保のための具体的なシステム作りです。今度は国といった大きな単位ではなく、市町自治体の中の日常生活圏域プラスアルファとなる数万人単位ですが、地域の医療介護資源の分量と分布の違いを受け容れた地域社会の医療介護需給のマネジメントが必要となります。
たとえば病院を退院する高齢者の患者さんが自宅に戻るときに、自分に必要な医療や介護のサービスについてわかりやすく説明してもらい、納得できるような仕組み作りもその一つです。これについては、地域の医療介護資源の情報ネットワークによる需給マッチング支援システムに期待できそうです。
そこで、このたびの政策研究会では当研究センター顧問で国の社会保障改革に関られる宮島俊彦氏(元厚生労働省老健局長)から医療介護総合確保施策についてご解説をいただき、続いて当研究センターガバナンス委員会の岡慎一郎氏(元静岡市静岡医師会長)が地元静岡市城西地区で高齢者の医療介護を支える活動を長年続ける中で見えてきた課題として、病院を退院された患者さんが自宅に戻って安心して医療介護を受けられるための仕組についての構想をご解説いただくとともに、その具体的な医療介護の需給マッチング支援システムの研究開発を手掛ける方々からご披露していただきます。
そして、当研究センター顧問で東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム特任教授の横山禎徳氏(元マッキンゼー日本支社長)から「社会システムデザイン」という考え方をご紹介いただいたうえで、講師一同を囲んで静岡市内の公的病院の管理者の方々と共に医療介護需給マッチング支援システム(愛称『あいマッチ』)なるものの現実化を目指した討議を進めたいと思います。
申すまでもなく、このような地域の取り組みは、静岡一市に限ったテーマではなく、全国いずれの市町自治体でも必要となります。そこで本研究会は一般公開方式として、全国に広報して開催いたします。
平成27年11月20日
静岡県立大学医療経営研究センター長 西田在賢、 同副センター長 森勇治、東野定律
開催概要
開催日:2015年(平成27年)12月20日(日曜日) 開場:13時00分 開演:13時30分 閉演:16時30分
会場:静岡県立大学 草薙キャンパス看護棟大講義室(静岡市駿河区谷田52-1、JR東海道線「草薙駅」徒歩12分)
参加費:無料※ただし、事前申込みが必要です。
セミナープログラム
13:30~13:50
開会
(13:30~13:35)
ご挨拶
静岡県立大学長
鬼頭 宏
(13:35~13:50)
政策研究会趣旨説明
静岡県立大学医療経営研究センター長
西田 在賢
13:50~14:15
講演「昨今の医療介護総合確保施策の進捗について」
医療経営研究センター顧問
内閣官房社会保障改革担当室長
元厚生労働省老健局長
宮島 俊彦
14:15~15:00
報告「医療介護総合確保支援のためのITシステムの開発について」
(14:15~14:35)
「静岡市城西地区における地域包括ケア取組みとシステムの課題」
医療経営研究センターガバナンス委員会委員
元静岡市静岡医師会長
岡 慎一郎
(14:35~15:00)
「医療介護需給マッチング支援システム『あいマッチ』の試作」
医療経営研究センターガバナンス委員会委員
SBS情報システム専務取締役
久保田 徹
静岡県立大学客員共同研究員
SBS情報システム医療事業本部開発部部長
原田 雅樹
15:00~15:10
<休憩>
15:10~16:30
パネルディスカッション
「まずは病院退院者のための医療介護総合確保」
(15:10~15:30)
視点提起「社会システムデザインの考え方」
東京大学特任教授
元マッキンゼー日本支社長
横山 禎徳
(15:30~16:30)
ディスカッション
【ファシリテーター】
静岡県立大学医療経営研究センター長
西田 在賢
【パネリスト】
医療経営研究センター顧問
内閣官房社会保障改革担当室長
元厚生労働省老健局長
宮島 俊彦
東京大学特任教授元マッキンゼー日本支社長
横山 禎徳
医療経営研究センターガバナンス委員会委員
元静岡市静岡医師会長
岡 慎一郎
医療経営研究センターガバナンス委員会委員
SBS情報システム専務取締役
久保田 徹
静岡市立静岡病院 病院長
宮下 正
静岡市立清水病院 病院長
藤井 浩治
静岡赤十字病院 病院長
磯部 潔
静岡済生会総合病院 病院長
石山 純三
JA静岡厚生連 代表理事理事長
宮瀬 雅司
16:30
閉会の辞
募集概要
申込受付は終了しております。