静岡県立大学創立30周年記念政策研究会
第14回社会福祉・医療事業の経営研究セミナー合催
地域医療構想と新公立病院改革のための英国病院トラスト考
ひるがえってわが国の地域ヘルスリフォームを考える
主催:静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科附属医療経営研究センター
協力:地域経営研究センター、一般財団法人 社会福祉・医療事業の経営研究会
後援:SBS情報システム、ヤマシタコーポレーション、村上開明堂
わが国では人口が縮減する中で高齢化が本格化しており 、国の借金と医療介護費用が膨れ上がるのを目の当り
にしながらも未だに国のグランドデザインは見えず、まるで沈みゆくタイタニック号のデッキの上でイスの並べ替えを行っているようなもどかしさがあります。
ところで、英国はちょうど40年前の1976年に社会保障負担の重なりも原因となって国の財政が行き詰まりIMF
管理に陥りました。その後さまざまな社会改革を重ねて昨今の財政回復に至りますが、この間の改革の研究と努力
はニュー・パブリック・マネジメントNPMと総称され ます。
医療分野のNPMでは、英国のナショナル・ヘルスサービスNHSによるさまざまな改革、なかでも医療圏ごとに地域の病院群を再編・ネットワーク化する病院トラストの仕組みや運営には学べることが少なくありません。
というのも最近のわが国のヘルスリフォームすなわち医療改革の重要課題の一つである地域医療構想、そしてこの政策に整合することを求められる新公立病院改革は、いずれもが地域の基幹となる公的病院群の相互理解と連帯
を求めることになると見られますが、そのような連帯を促すためのロジックがわが国には見当たりません。そこで 、国を挙げて地域の病院群の統括管理を行なう英国の病院トラストを考察して、わが国の公的な位置付けにある病院群の連帯と経営改革に参考となる政策研究会を企画開催いたします。
研究会では前半に医療経営研究センター長の西田在賢が今年6月から8月にかけて「社会保険旬報」に連載した『英国病院トラスト考』について概説し、続いて英国からお招きするウディン教授(エセックス大学ビジネススクールの研究センターAccounting Centre 責任者)から同国の医療サービス提供において求められるアカウンタビリティ、及び地域病院群を統括管理する病院トラストではどのようにしてアカウンタビリティを果たすかを解説 していただきます。
そして昨年、厚生労働省が公表した地域の医療・福祉施設を統合管理できるとする「地域医療連携推進法人制度
(仮称)」の検討委員会の委員をされた東京大学大学院医学系研究科の橋本英樹教授から日本における病院経営統合の課題等についてご説明とご意見をいただきます。
そのあと、ファシリテーターを矢野経済研究所首席研究員の遠藤邦夫氏にお願いして、厚生労働省や関連分野の
有識者の方々を交えたパネルディスカッションを行う予定としてい ます。
開催概要
開催日:2016年(平成28年)10月10日(月曜日祝)午後1時から午後4時30分まで
会場:静岡県立大学 草薙キャンパス大講堂
参加費:無料
セミナープログラム
13:00~13:15
開会の辞
学長ご挨拶
ご来賓挨拶
【進行】
医療経営研究センター長代行
大学院経営情報イノベーション研究科教授
藤本 健太郎
13:15~15:15
第一部
【進行】
医療経営研究センター副センタ―長
大学院経営情報イノベーション研究科准教授
東野 定律
13:15~14:00
「英国の病院トラストに見る地域病院の 統括管理(仮)」
医療経営研究センター長
大学院経営情報イノベーション研究科教授
西田 在賢
14:00~14:45
「英国の医療提供とアカウンタビリティ(仮)」
英国Essex大学BusinessSchool,
Accounting Centre Director
Uddin, Shahzad
14:45~15:15
「わが国の非営利ホールディングカンパニー医療法人の議論 を振り返る(仮)」
東京大学大学院医学系研究科教授
公共健康医学専攻保健社会行動学分野
橋本 英樹
15:15~15:30
<休憩>
15:30~16:30
第二部
【討論】「はたして日本で病院トラストができるか」
【進行】矢野経済研究所首席研究員 遠藤 邦夫
内閣官房社会保障改革担当室長
元厚生労働省老健局長
医療経営研究センター顧問
宮島俊彦
弁護士
㈶社会福祉・医療事業の経営研究会 理事長
㈶国際ビジネスコミュニケーション協会監事
医療経営研究研究センター ガバナンス会議議長
角田 愛次郎
Essex大学教授
Uddin,Shahzad
東京大学大学院教授
橋本 英樹
静岡県立大学教授
西田 在賢
ほか
16:30
閉会の辞
募集概要
申込受付は終了しております。
報告
ご来賓の元法務大臣、上川陽子衆議院議員からは静岡の医療介護の総合的なマネジメント改革が全国の模範になってほしいとの期待をお寄せくださった。そして第一部の講演3題があり、ここで英国のニュー・パブリック・マネジメントの取り組みとしての地域病院群の統括管理に至る改革とそれに実効性をもたらすアカウンタビリティの概念、そして日本における昨年の病院統合のための新医療法人法案を省みました。その上で第二部のパネルディスカッション、はたして日本で病院群の統括管理組織「病院トラスト」ができるかについて討論いたしました。
討論では、始めにセンター顧問の宮島俊彦氏(元厚生労働省老健局長)から国の見方について、そしてセンターガバナンス委員会議長で法律家の角田愛次郎氏からは法的仕組みであるトラストについてご説明を頂き、矢野経済研究所フェローの遠藤邦夫氏が進行役を務めてくださいました。
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