第11回社会福祉・医療事業の経営研究セミナー
医療・介護保障の持続条件を考える
主催:一般財団法人 社会福祉・医療事業の経営研究会
後援:東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻保健社会行動学分野、静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科附属医療経営研究センター
わが国は世界でも抜きん出て人口高齢化が進んでおり、他方で少子化も進んでおりますため、社会保障を支える財源の調整が年を追って難しくなっています。近年を振り返りますと、政府は社会保障制度改革を進めようと、2008年に当時の自民党内閣が社会保障国民会議の設置を閣議決定し、暮れの最終報告の中で2025 年にも巨額となる医療・介護費用のシミュレーション結果を公表しました。しかし、政局の混乱とリーマンショックに端を発する世界金融危機、そして、2011年3月の東日本大震災と福島原発事故という未曾有の大災害により、持続可能な社会保障構築と安定財源確保に向けた諸々の施策は足踏み状態が続きました。とはいえ、2011年6月には「社会保障・税一体改革成案」を決定し、2012年2月には「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定して、同年8月にはとにかく関連法案が可決されました。8月に社会保障制度改革推進法が成立し、この改革を行うために必要な事項を審議するため、内閣に社会保障制度改革国民会議が設置されました。この国民会議は、20回にわたる会議を経て先般8月6日に最終報告書を提出しました。そこでは、高齢者にも所得に応じた応分の負担を求めており、さっそく高齢者のあいだからは医療や介護などの負担増加やサービス低下への懸念が出ています。
このような混乱振りを見ますと、はたして社会保障制度の持続可能性がいかなる水準のものになるかは、まだ全く見えてまいりません。中でも、最大の経費を求められる医療・介護保障の制度の持続可能性について、いかなる担保がなされるのかが、見えてまいりません。しかし、医療・介護保障の財源に限りがあることは明らかです。
そのようなとき、先行して高齢社会を経験する欧州デンマークなどが取り組むマネジメントでは、全国を幾つかの地区に分割して、それぞれが当該地域に最も適切な形で医療・介護サービスの提供体制を構築し、維持・運営の管理をする、いわゆる地域主体型の医療・介護サービスの姿が注目されます。
わが国においても、今後の医療および介護のサービス提供に関して地域包括ケアなどの概念が提示されていますが、残念ながら具体像は、全国市区町村でまだ模索中です。このたびは、メインスピーカーに地域包括ケア体制の法令化にたずさわれました宮島俊彦前厚生労働省老健局長に、地域包括ケア体制の政策進行状況についてご講演をたまわり、続いて本セミナーを企画運営いたします橋本英樹(東京大学)、遠藤邦夫(矢野経済研究所)、西田在賢(静岡県立大学)が質疑させていただくパネルディスカッションを行ないますので、どうぞご期待ください。
開催概要
開催日:2013年(平成25年)10月26日(土曜日)午後1時30分から午後4時まで
会場:東京大学医学部1号館1階講堂
参加費:2000円
※今回で11年目を迎えます本研究セミナーは、当初、実費負担により医療・福祉経営にご関心のある方々が全国から集いました。しかしながら、主催者側を代表します西田在賢が静岡県立大学に赴任した第4回以降の開催は、勤務する公立大学の事情により実費徴収の手続きが困難となりました。他方で、地元企業等からの寄付金で行なえることになり、昨第10回目までは静岡県立大学に足をお運びいただくことで参加費を無料とすることができました。とはいえ、県外の方には旅費負担が小さくありませんでした。そこで、東京(あるいは全国の有志たちのお誘いの場所)での開催がかなうように、本研究セミナー発足時のメンバーを中心に一般財団法人社会福祉・医療事業の経営研究会を設立してセミナー開催に臨むこととなりました。本研究セミナーを共に興しました橋本英樹先生と私は、職務上のこともあり、財団には直接かかわりませんが、これまでどおり、本セミナーの開催に尽力いたします。
西田在賢 拝
セミナープログラム
13:30~13:45
開会の辞
一般財団法人 社会福祉・医療事業の経営研究会
理事長
角田 愛次郎
13:45~14:45
「わが国の医療・介護保障のマネジメント」
前厚生労働省老健局長
宮島 俊彦
14:45~15:00
<休憩>
15:00~15:55
パネルディスカッション
「医療・介護保障の持続条件を考える」
【ファシリテーター】
東京大学大学院医学系研究科教授
橋本 英樹
【パネリスト】
前厚生労働省老健局長
宮島 俊彦
矢野経済研究所首席研究員
遠藤 邦夫
静岡県立大学大学院
経営情報イノベーション研究科教授
西田 在賢
15:55~16:00
閉会の辞
静岡県立大学大学院
経営情報イノベーション研究科教授
西田 在賢
募集概要
申込受付は終了しております。