第7回社会福祉・医療事業の経営研究セミナー『地方の時代の医療・福祉経営を考える』

主催:静岡県立大学 地域経営研究センター 現代社会福祉経営研究室
後援:医療経済研究機構 独立行政法人医療福祉機構

 医療・介護機関の経営持続性を考える目的で始まった本セミナーもこのたびで7年目を迎えました。今年は半世紀ぶりの政権交代がありましたが、前政権も今政権も「地方の時代」を掲げておりますことには違いがありません。昨年6月の前回セミナー『連携の時代の医療・福祉経営を考える』開催の趣旨について既に次のように申し上げておりました。
 「医療費には明らかに地域差があることが以前から指摘されています。このことは都道府県毎の疾病構造の差と医療提供体制の差が大きいからだと考えられます。そこで、都道府県単位での医療提供体制の見直しとともに、保険者についても都道府県単位で再編し、医療提供と保険財政の両方を都道府県で管理する姿が望ましく見えます。このことが成ります、と診療報酬も都道府県で決定されることになり、つまりはこれまでの中医協がいらなくなり、代わって地域の社会保険医療協議会の時代となります。このことを私は『新時代に生きる医療保険制度・・・持続への改革論』(薬事日報社、2004年)の中で説明しました。そして、これが現実味を帯びてきたわけです。このような新しいパラダイムの時代に臨んで、地域単位での医療提供体制の見直しが進み、病診連携や機能連携が医療機関の経営にとって大きな課題となります。また、医療と介護は保険制度こそ違えても両者の連携は不可分なものになるはずです。すなわち、介護機関にとっても連携は経営の重要なキーワードとなるでしょう。」
 じつのところ、昨年度のセミナーでこそ、このたびのタイトルを提示したいと思ったのですが、医療や介護に携わる皆様やそれを利用される市民の方々にとって、「地方の時代」を実感されるには時期尚早との懸念があり、連携の話題提供といたしました。しかし、昨年10月に政府管掌健康保険は全国健康保険協会に改組され、結果、職域保険と地域保険の比率が6対4から3対7へと大きく変わり、将来の地域保険一本化の議論が現実味を帯びています。ちなみに、地域保険となりますと保険資金の管理は都道府県の担当となり、診療報酬の設定は都道府県単位となります。そのための法令も既に昨年の後期高齢者医療制度や特定健診制度の開始に合せて出ています。なお、元を質せば、増嵩する高齢者医療費への対策として始まった公的介護保険制度は、言うまでもなく地域保険です。
 そのようなことから「地域の時代」が本格化しようとするこれからに備えて、医療機関や介護機関が自らの経営を見直す時期の到来を話題にしたいと考えます。
 このたびは、静岡県立大学地域経営研究センター長で、本セミナー開催の代表を務めてまいりました私の「現代社会福祉経営研究(Study for Modern Manegement of Health and Welfare)の活動紹介の後、わが国で唯一、医科大学に併設された医療福祉大学の学長を務められる岡田喜篤先生、衆議院議員時代に民主党の影の内閣(シャドウ・キャビネット)の厚生労働大臣を務められた五島正規医療法人防治会理事長、超高齢化社会にあって不可欠となる福祉用具の利用促進を支援する全国福祉用具専門相談員協会の山下一平会長のご講演を企画しました。そして、いつものように橋本英樹東京大学大学院教授がファシリテーターとなって演者の先生方と会場とをお繋ぎいたします。

現代社会福祉経営研究室代表 西田在賢

開催概要

開催日:2009年(平成21年)12月19日(土曜日)午後1時から午後4時30分まで
会場:(本会場)静岡県立大学 ⇔ (遠隔会場)福祉医療機構

セミナープログラム

13:00~13:10

開会の辞

13:10~13:45

「地域の医療福祉経営のためのコンピュータ支援の取り組み」

現代社会福祉経営研究室 代表
西田 在賢

13:45~14:30

「中央 vs. 地方 / 医療制度の経営と政治」

医療法人防治会理事長
元民主党衆議院議員
五島 正規

14:30~14:45

<休憩>

14:45~15:30

「地域が育てる医療福祉の経営人材(仮題)」

川崎医療福祉大学学長
岡田 喜篤

15:30~16:00

「地域の介護を支援する福祉用具専門相談員の役割」

全国福祉用具専門相談員協会会長
ヤマシタコーポレーション代表取締役
山下 一平

16:00~16:30

質疑応答 ~ 静岡本会場と東京会場を結んで ~

【ファシリテーター】
東京大学大学院医学系研究科教授
橋本 英樹

募集概要

申込受付は終了しております。

関連情報

2009年12月21日の静岡新聞に本セミナーが紹介されました。